研究課題/領域番号 |
14740289
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
超高層物理学
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
今村 剛 独立行政法人宇宙航空研究開発機構(宇宙研), 宇宙科学共通基礎研究系, 助教授 (40311170)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 惑星探査 / 赤外線 / ボロメータ / 惑星大気 / 光学観測 / 非冷却 |
研究概要 |
惑星探査機に搭載する赤外カメラを開発するための基礎研究を行った。検出器としでは、極低温への冷却を要する従来の量子型素子ではなく非冷却ボロメータ素子を採用し、軽量化を図る。大規模なボロメータ素子(240×320画素)が近年開発され、そのような観測装置が現実的となったが、まだ宇宙での実績は乏しい。 まず検出器の特性を把握するために、日本の金星探査計画(2009年)で採用を検討しているボロメータ素子を用いて、基礎実験を行った。非冷却ボロメータ素子は通常は常温物体(300K)を対象とするが、金星探査では大気上層の冷たい雲(230K)が撮像対象となるため、ノイズ低減のために工夫を要する。実験では、ヒータで温度制御可能な黒体塗装アルミ板を冷凍庫に入れて撮像対象とし、230Kから300Kまでの様々な温度において画像データを取得した。その結果によれば、低温対象物の撮像画像には次の3種類のノイズが含まれている。 (1)時間的に安定した縞状の固定パターンノイズ。検出器の読出し方式に起因すると思われる。 (2)画像の周辺の増光。光学系からの熱放射に起因すると思われる。 (3)ランダムな時間変動ノイズ 上記のうち(1)(2)はオフセットを適切に較正することにより除去可能であり、(3)は数十枚の画像積算により低減できることが実験で確かめられた。これらの結果から、金星探査機搭載の赤外カメラ(波長域9-11μm)において0.3K程度の透過雑音温度を達成できる見込みが得られた。 さらに、高エネルギーの放射線が降り注ぐ宇宙空間で長期の使用に耐えるために、耐放射線性の試験を行った。放射線医学総合研究所の粒子線照射施設において、検出器がONの状態で約30kRadを照射したところ、2度ラッチアップしたものの深刻な影響は生じないことが分かった。 以上の結果をもとに、搭載機器の試験モデルの設計と試作を行った。
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