研究課題/領域番号 |
14740320
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
前山 俊彦 東北大学, 大学教育研究センター, 助手 (20250673)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | ペプチド / クラスター / 負イオン / 局在化電子 / 双極子束縛 / 電子脱離 / レーザー分光 / 電子移動 |
研究概要 |
生体内長距離電子移動反応における中間状態のモデル系として、モノペプチド(N-アルキルアミド類)分子のクラスター負イオンが有功であるという着想の下に、その生成法と、構造及び反応過程を調べるための分光法の確立を念頭においた開発的研究を行った。 N-メチルアセトアミド2量体負イオンの光電子脱離効率の波長依存性を測定した結果、余剰電子の空間的分布が数nmの半径に広がって緩く束縛されている双極子束縛型負イオンであることが明らかになった。以前フランスのグループにより、大きなサイズのクラスターは生成されないと報告されていたが、これは、3量体以上の中性クラスターが環状構造をとり、双極子モーメントの総和を消失させてしまうことが原因と考えられる。そこで、衝突により分子間結合の成長・再配向が促進される高密度条件で電子付着を行ったところ、アルキル基の長さの異なる種々のペプチド分子について30〜50量体までのクラスター負イオンの形成が確認された。アルキル基が長いものほど3量体の生成功率が高く、これは置換基の立体障害により環形成が疎外されることに起因している。4〜6量体の強度は、やはり弱いが、概ね7量体を境に急激にイオン強度が増大し、ここで新奇な電子束縛の様式が発現することがわかった。更に、大きなサイズの分布には7〜10分子程度の周期のうねり構造が観測され、そのうねりの周期がアルキル基の長さが長いほど大きくなる傾向が見い出された。分子クラスターの質量スペクトルにおいて、このようなうねり構造が観測されたことは初めてであり、余剰電子の付加が分子集団に対して特異な組織化現象を誘起したことを示唆している。静電的相互作用に基づいた解析では、らせん状、または円環を単位としたブロック状の分子配列をとっていることが推定された。
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