研究課題/領域番号 |
14740358
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松井 敏高 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90323120)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ヘムオキシゲナーゼ / ヘム / 酸素活性化 / ベルドヘム / ヒドロパーオキシ / compound I |
研究概要 |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は生体内で不要になったヘムを3段階の酸化反応で分解する酵素であり、その特異な反応のメカニズムに興味が持たれている。平成15年度は、HO反応の第1段階(αメソ位の水酸化)の詳細な機構を明らかにするとともに、第3段階(ベルドヘム開環)についても、その概要を初めて実験的に解明した。 第1段階の活性種はヒドロパーオキシ種(Fe-OOH)と考えられているが、メソ位水酸化におけるFe-OOHの活性化機構は不明であった。低温還元法によりHO複合体中においてFe-OOHを調製し、メソ位水酸化の素過程を検討したところ、顕著な溶媒同位体効果が見られた。また、メソ位水素にも有意な2次同位体効果が見られた。これらの結果から、Fe-OOHはプロトン化により活性化され、メソ位水素の脱離と協奏的に水酸化を行うことが明らかになった。さらに、変異型HOの反応解析および結晶構造解析などから、活性化に必要なプロトンはFe-OOH近傍の水分子によっで供給され、活性部位のアスパラギン酸がこの水分子の固定に重要であることが示された。 HO反応の第3段階については直接観測が困難であり、反応の概要すら明らかでなかった。そこで、化学合成したベルドヘム(酸素に不安定)を用い、HOとの再構成や全ての反応を嫌気グローブボックス中で行うことにより、詳細な検討に耐えうる反応系の確立に成功した。現在までに、酸素濃度依存性などの基礎的なデータの蓄積を終えている。特に、変異型HOを用いた研究から、第一段階と同様に活性部位のアスパラギン酸がベルドヘムによる酸素活性化に深く関与していることを明らかにした。これらの結果は、ベルドヘム代謝機構の解明の糸口になると期待され、HO反応の全貌を近い将来に明らかに出来ると期待される。
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