研究課題/領域番号 |
14740377
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川本 正 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (60323789)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 不整合格子 / 有機超伝導体 / 金属-絶縁体転移 / 不整合反強磁性絶縁体 / 温度-圧力相図 / X線写真 / ラマンスペクトル / 上部臨界磁場 / ピン止め / 量子振動 / フェルミ面 |
研究概要 |
MDT-TSFの誘導体の一つであるMDT-TSのAuI_2塩は、有機ドナー分子と無機アニオン分子が不整合格子を組む有機伝導体である。この物質はMDT-TSF系超伝導体と同型構造であるが、T_<MI>=50Kで金属-絶縁体転移を示す。X線写真にはAuI_2の長さに対応するブラッグ反射が写っていることから、アニオンはI-Au-Iを単位として規則的に並んだ一次元鎖を形成していると考えられる。また、それぞれの格子のa軸の長さの比から、化学的組成を(MDT-TS)(AuI_2)_<0.441>と決定した。この組成比は常圧超伝導体である(MDT-TSF)(AuI_2)_<0.436>と近い値である[Chem.Mater.16,5120(2004)]。 圧力下での抵抗測定により、10.3kbar下T_c=3.2Kで超伝導相が発現することを明らかにした。また、測定圧力範囲において、11.9kbar下T_c=4.4Kまで超伝導転移温度は上昇する。常圧では、静磁化率は金属相においてパウリ常磁性を示さず、低温になるに連れて緩やかに上昇し、T_N=50Kで反強磁性転移を示した。このことから、金属相は電子相関の強い異常金属相であり、基底状態は反強磁性絶縁体であることを確定した。 本物質のキャリアー数はアニオン分子数と一致するため、アニオン分子あたり1キャリアーが局在する様な周期でのみスピンは反強磁性秩序を形成できる。これは、伝導や磁性を担っているドナー格子の周期とは不整合となる極めて特異な電子状態(不整合反強磁性絶縁体)である。得られた温度-圧力相図は反強磁性絶縁相に隣接して高圧側に超伝導相が存在する。これは(TM)_2Xやκ-(ET)_2Xの相図と酷似しているが、実効的1/2充填率バンドを有さない点が異なる[Phys.Rev.B71,052501(2005)]。
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