研究課題/領域番号 |
14740381
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡崎 俊也 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90314054)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
|
キーワード | 金属内包フラーレン / FET / 電界放出 / カーボンナノチューブ / 熱フィラメントCVD / ピーポッド / EELS / TEM |
研究概要 |
(1)熱フィラメントCVD法を用いて、フラーレンおよびカーボンナノチューブを合成することに成功した。従来、フラーレンやカーボンナノチューブは、減圧下の不活性ガス雰囲気中において、炭素および金属触媒を用い、直流アーク放電やレーザー蒸発をすることによって、合成されていた。しかし、これらの方法では原料に比較的高価なグラファイトを用い、また生産量も限られているため、それらに代わる安価な大量合成法が望まれていた。トルエンなどの有機溶媒を燃やす燃焼法によって、フラーレン合成が行われているが、この方法では金属などを内包した金属内包フラーレンを合成することは難しい。このように従来法では困難であった、合成効率のよい、安価なフラーレン、カーボンナノチューブ合成法として、熱フィラメントCVD法を開発した。この方法では、低圧下の有機溶媒蒸気中で金属フィラメントを通電加熱して、有機分子を熱分解し、フラーレンおよびカーボンナノチューブを合成する。フラーレン類を合成する場合にはトルエンなどの芳香族を用い、ナノチューブを合成する場合にはアルコールを主に用いる。特に、この手法によって合成した多層カーボンナノチューブは(1)チューブ壁のグラファイトの結晶化度が高い(2)層数が少ない(5層以下がほとんど)、などの優れた性質を持つことがわかった。そこで、同ナノチューブを用いた電界放出実験を行ったところ、電界放出に要する電圧が低く、寿命も長いことがわかった。今回得られた結果は、これまでに作られた最も優れた多層ナノチューブと同等であり、特にCVD法で作られた多層ナノチューブの中ではずば抜けて優秀であった。既に同製法に関する特許も出願済みで、企業からの問い合わせも幾つか届いている。また、CVD法で合成したカーボンナノチューブにフラーレンを内包させることにも、世界で初めて成功した。(2)種々の金属内包フラーレンをドープした単層ナノチューブ、ピーポッドをチャンネルとして用いた電界効果型トランジスタ(FET)を製作し、これらの半導体特性を調べた。SWNTをチャンネルとして用いた場合、p型半導体特性を示すことはよく知られている。一方、ピーポッドを用いた場合は、p型とn型の両方の特性を併せ持つ両極性型の特性を持つことがわかった。そしてその振る舞いは内包させるフラーレンの種類に大きく依存することがわかった。 これら一連の研究は国内外で高く評価され、アメリカ電気化学会年会などで依頼講演を行った。
|