研究概要 |
有機伝導体の絶縁機構の一つとして,電荷整列または電荷秩序と呼ばれる電荷分布に不均化を伴う電荷局在化現象が注目されている。この不均化は電荷同士のクーロン反発による多体効果に由来しており,1電子描像で理解できる従来の電荷密度波と発生起源が異なっている。本研究では,この電荷整列により生じた電荷ギャップの直接観測および遠赤外領域で観測される格子振動の観測を目指し,有機伝導体専用の遠赤外反射分光器を行い,その評価を行うことを目的とした。遠赤外スペクトル測定には大きな結晶が必要であるが,有機伝導体の場合十分な大きさの試料が得られることは困難である。この装置は,小さな単結晶でも効率良く測定を行えるように(1)in-situ金蒸着源を装備し,小さな試料面に励起光を効率よく集光するための(2)顕微光学系を備えている。今後は作製した装置を用いて,有効なデータの蓄積を目指したい。
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