研究課題/領域番号 |
14740395
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質変換
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
狩野 直和 東京大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00302810)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 高配位ケイ素化合物 / 光照射 / 配位数変換 / X線結晶構造解析 / アゾベンゼン / ヒドロシラン / 光スイッチ / ジシロキサン / アリルシラン / 反応制御 |
研究概要 |
本研究では「光照射による有機ケイ素化合物の配位数スィッチ機能を活用した反応制御」を目的として、今年度は光応答部位かつ分子内配位性部位としてアゾ基を有する5配位ヒドロシランを用いた還元反応の光制御を検討した。2-(フェニルアゾ)フェニル基を有するトリヒドロシラン、クロロジヒドロシラン、テトラヒドロジシロキサンをそれぞれ合成した。X線結晶構造解析、各種NMRスペクトルより、アゾ基がE-体の場合、トリヒドロシランのケイ素は4配位状態であり、クロロジヒドロシラン、テトラヒドロジシロキサンではアゾ基の窒素の配位を受け、五員環骨格形成により安定化された5配位状態であることを明らかにした。テトラヒドロジシロキサンについて光照射したところ、良好な収率で異性化が進行し、対応するZ-体が得られた。Z-テトラヒドロジシロキサンでは、ケイ素が4配位であり、光照射によりケイ素の配位数がスイッチできることがわかった。E-体およびZ-体それぞれに対してフッ化物イオンを作用させたところ、E-体ではアゾ基が還元された後にケイ素-炭素結合が切断されて生成したと考えられるジフェニルヒドラジンが得られた。また、テトラデューテリオジシロキサンを用いた対照実験において、ケイ素部位がDで置換されたジフェニルヒドラジンが生成し、ケイ素上の置換基同士のリガンドカップリングの可能性が示唆された。一方、Z-体ではアゾ基の還元は進行するものの、ケイ素-炭素結合が保たれた生成物が得られた。上記の結果は、ケイ素の配位数および分子の配座に応じて反応性が変化した結果であると考えられ、興味深い。以上のように、光照射によってケイ素の配位数変化に成功し、それにともない反応性が変化する系の構築に成功した。
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