研究概要 |
花弁の開閉運動は,花弁の内側と外側の偏差成長に起因する.アサガオの開花の進行がアクチンの重合阻害剤によって抑制されることから,花弁におけるアクチン分子の挙動について解析を行った. ・アサガオ花器官のESTデータベースをもとに同定された9つのアクチン遺伝子は,シロイヌナズナの栄養組織で強く発現しているグループと,生殖組織に強く発現しているグループに分類された.後者に分類された遺伝子のうちのいくつか発現量は光条件により顕著に変化し,部位による発現の違いも検出された.今回は,花弁の展開に特異的なアクチン遺伝子の発現変化は検出できなかったが,花弁においてアクチン遺伝子の発現がダイナミックに変化しているという事実は新たな知見であり,このような発現量の変化が,何に起因し,どのような意味を持つかに関して,さらに検討する必要がある. ・チューリップ(Tulipa gesneriana L),ハナスベリヒユ(Portulaca hybrid),ムラサキカタバミ(Oxalis corymbosa DC)の花弁,または葉の運動を定量的に測定する系を確立し,光(照度・波長)や温度,アクチン重合阻害剤の運動に対する影響を明らかにするとともに,それらの器官の表皮細胞におけるアクチン繊維の運動に伴う配向変化を観察した. ・アサガオ由来アクチンタンパク質をDNAase Iアフニティーカラムクロマトグラフィーによって精製し,それをもとにアサガオ花弁からアクチン結合タンパク質を検出し,それらの結合特性に関する検証を進めている.
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