研究課題/領域番号 |
14740436
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物生理
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
加賀谷 安章 三重大学, 生命科学研究支援センター, 助手 (20335152)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 種子 / アラビドプシス / 転写因子 / アブシジン酸 / 分子生物学 |
研究概要 |
FUS3の直接的な標的遺伝子を同定する目的で、エストロジェンによる人為的発現誘導系を用いてFUS3を植物体で異所発現させて誘導されてくる遺伝子をマイクロアレーにより探索した結果、約250種類の遺伝子が検出された。その中には種子貯蔵タンパク質をはじめ種子特異的に発現する遺伝子が大多数を占めており、さらにABA依存的に発現が増強される場合が多かった。これらの遺伝子の多くは、プロモーター中にRYエレメントが見出され、FUS3が直接的に転写活性化に関与することが予想された。また、ABI3の人為的発現誘導系を用いた場合でのノーザン解析の結果、FUS3とABI3の標的遺伝子の多くはオーバーラップしていることが見出された。しかしなから、FUS3とABI3誘導の場合での標的遺伝子の転写活性化は、多くの場合、FUS3の方が遅い反応として検出され、それぞれ異なるシグナル伝達・二次転写制御因子の新規合成をともなって作用していることが考えられた。さらにFUS3とABI3を植物体で同時に発現させた場合、共通の標的遺伝子に対して相乗的な転写活性化作用は検出されなかった。したがって、FUS3とABI3は種子成熟過程で独立に作用すると考えられる。種子貯蔵タンパク質遺伝子CRCに着目し、そのプロモーターにGUSを融合したレポーター系統をFUS3およびABI3誘導系に導入して検討した。その結果、FUS3はCRCの上流側エンハンサーを必要とするのに対して、ABI3の場合には転写開始点近傍のRYエレメント、ABRE領域を介して転写活性化するという違いが見出された。さらに、FUS3によるCRCの誘導は幼植物体の本葉に限定されるのに対して、ABI3によるCRCの誘導は幼植物体の子葉について限定されるという違いが観察された。以上の結果と、fus3変異体での子葉は成熟化が抑制され形態的に本葉の特徴をもつことを合わせて考えると、実際の種子成熟過程では、成熟初期にはFUS3が、一方、成熟した子葉ではABI3がそれぞれ独立に機能し、共通した標的遺伝子の発現を制御している可能性か示唆された。
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