研究概要 |
シロイヌナズナゲノム中に存在する全SNARE分子の細胞内局在の決定 シロイヌナズナゲノムデータベースよりSNARE分子をコードする遺伝子を54種類同定した。これらを配列の類似性を元にして5種類(Qa,Qb,Qc,R,SNAP)に分類し、それぞれの遺伝子が実際発現しているかを、RT-PCR法を用いて確認した。その結果、R-SNAREの一種であるYKT61を除く、全てのSNAREをコードする遺伝子が何らかの組織で発現していた。これらのSNAREの細胞内での局在を調べるために、mRNAより逆転写酵素によってcDNA合成し、それらを鋳型としてPCR法によりDNAを合成した後、GFP融合タンパク質を発現するためのベクターp35S-GFP/pUCβにGFPの読み枠とイン・フレームになるように結合した。このようにして作成した融合タンパク質発現用ベクターをシロイヌナズナの培養細胞に一過的に発現させ、共焦点レーザー顕微鏡によって、細胞内局在の観察を行った。 その結果、小胞体に存在するSNAREが6種類、ゴルジ体に局在するSNAREが9種類、トランスゴルジ網に局在するSNAREが8種類、エンドソームには2種類、細胞膜には20種類、液胞膜には9種類のSNAREが、それぞれ存在することが明らかとなった。 この研究により、細胞内小器官全てのSNARE分子の同定に成功した。細胞内小器官の中で、特に細胞膜には多くのSNAREが存在するととが明らかとなったが、これは細胞膜への極性輸送、細胞周期的な発現の違いなどを考えると、それぞれの条件、あるいは輸送経路に特有のSNARE分子があることが予想され、非常に興味深い結果である。 今後、これら細胞膜上のSNAREを発現する遺伝子組み換えシロイヌナズナを用いて、極性輸送と,SNAREの関係について調べていく予定である。
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