研究課題/領域番号 |
14740473
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
系統・分類
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研究機関 | 広島大学 (2003) 慶應義塾大学 (2002) |
研究代表者 |
倉林 敦 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00327701)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | ウスボヤ科 / プロクロロン / 共生 / 分子系統 / 単系統 / 多起源 / 深海ホヤ / 琉球 / 18SrDNA |
研究概要 |
群体ホヤ類のウスボヤ科は、原核緑藻プロクロロンを共生させる動物群である。本研究では、分子系統学的手法を用い、本共生系の起源について研究した。 本年度は、沖縄本島・西表島においてプロクロロン共生ウスボヤ種の採集を行った。昨年の成果とあわせると、本研究では、4属・9種の共生ホヤ種が得られた。また西表島で得られた共生種・Lissoclinum paturaは本邦では初の発見である。本種を含めた琉球列島における共生ホヤの形態と分布について、琉球大学の広瀬博士と共に論文を公表した[Biol.Mag.Okinawa 42(2004):印刷中]。 共生ウスボヤ種の系統関係を、18SrDNAとCOI蛋白遺伝子の塩基配列に基づいて推定した。その結果、共生ホヤの一部の属は単系統ではないことが示唆された。さらに、共生ウスボヤ種は、非共生ウスボヤ種と系統的に入り交じった系統樹が得られ、ホヤ・プロクロロン共生系は、単一起源ではなく、複数起源であった可能性がある。ただし、得られた樹形は分子種ごとに一致せず、系統樹の統計的信頼値は十分なものではなかった。これは、系統解析に用いた分子の進化速度がウスボヤ類で極端に早くなっていることが原因と考えられた。また、プロクロロンの16SrDNAに基づき、ホヤ種間と地域間におけるプロクロロンの遺伝的差異の検出を試みたが、本遺伝子では塩基置換速度が遅く十分な差異は検出できなかった。 ウスボヤ科と同目(腸性目)とされるが、系統学的位置が不明瞭な深海ホヤ類・オクタクネミ科からオオグチボヤの18SrRNAとCOI遺伝子の塩基配列を決定し、その系統学的位置を明らかにした。その結果、オクタクネミ科は、腸性目の中でも浅海性のコレラ科と近縁であり、中でも、スボヤ類から深海に適応したグループであることが示唆された。この点をZool.Sci.20(2003):1243-47に公表した。
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