研究概要 |
本年度の研究は大きく分けて下記の3件である. 1 連続Euler変換の一般化を行い変換の適用範囲を広げることを試みた.まず,積分の収束加速の一般法則から,多項式の逆冪のオーダーで収束する関数の無限積分に対する連続Salzer変換を導出し,次に連続Euler変換に連続Salzer変換の性質を持たせた一般化連続Euler変換を完成させた.この一般化連続Euler変換によって,計算が困難とされる複雑な振動の項を持つ積分が容易に計算できるようになった. 2 連続Euler変換の応用として,フーリエ型の積分に対する計算法を開発した.この算法は改良型の連続Euler変換に,フーリエ型二重指数関数公式を組み合わせる方法であり,従来の単独のフーリエ型二重指数関数公式よりも計算効率の良いものである. 3 より複雑な収束の遅い積分に対する変換の開発も行った.無限区間積分の収束の加速法は級数の加速法と同様に,被積分関数の漸近的な収束の振舞いがわかれば,形式的に作ることができる.そこで,レーザー工学の分野で現れる積分に関して新たな連続変換を構築して,連続Euler変換と同様にして性能評価を行い,それを用いて数値積分への応用を試みた.その結果,他の数値積分公式などと比較して,新しい変換公式は高速かつ高精度で計算できることを確認した.
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