研究概要 |
最終年度(第三年度)である本年度は,昨年度までに得られた成果を基にして,問題点の追求を行なうとともに本研究の新しい展開を見据えてのテーマを実行した.詳細テーマは交付申請時とほぼ同じであり,以下の通りである.それぞれに対して,対外的な研究発表を行なった. (1)ナノ界面での原子クラスター構造体の相対運動による機能性の発現 (2)SPH法とMD法のハイブリット計算力学手法によるナノサイズ材料の強度解析 (3)原子クラスターおよびその構造体の力学挙動に対する原子間ポテンシャルの影響 (1)では,ナノサイズの構造体で問題となりうる原子間力起因の摩擦現象を低減するメカニズムを原子クラスターまたは原子クラスター構造体で実現する方法を提案した.平行なグラファイトシート間に配置した銅原子クラスターの回転運動と力学的挙動を分子動力学法で解析した.界面でのポテンシャル関数の強さおよびクラスターのサイズが重要なファクターであることを見出した. (本報告書項目11,雑誌論文の6番目) (2)では,計算系をSPH法とMD法とで分割し同時に解くための定式化を行なった.そして,プログラミングおよび異材界面モデルでの数値テストを行ない,この手法を強度評価に応用していくためには,SPH粒子とMD粒子の相互作用の適切な取り扱いがキーポイントであることを見出した. (本報告書項目11,雑誌論文の3-4番目) (3)では,有機分子なども含めた様々なタイプの原子クラスターおよび原子クラスター構造体の分子動力学解析を今後行っていくにあたり,重要な要素となる原子間ポテンシャルの動力学的性質を押さえた.安定な結晶構造のエネルギー,格子欠陥エネルギー,表面エネルギー等の再現性が重要なファクターとなることを見出した.また,酸化物クラスターにおける熱的安定性について検討した. (本報告書項目11,雑誌論文の1-2番目と5番目)
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