研究概要 |
本年度は,5軸制御マシニングセンタの様々な形態に応じた運動精度測定方法を提案するために,次の2項目について検討を行った. (1)同時4軸制御運動における幾何偏差推定方法の有効性の確認 本研究で提案している同時4軸制御運動で得られる誤差曲線から,マシニングセンタの2つの旋回軸を決定する8個の位置偏差と角度偏差とを推定する方法について検討した.特に,観測方程式によって推定できない偏差について,測定結果と偏差との幾何学的な関係から偏差量を導出する手法を明らかにした.テーブル旋回形の5軸制御マシニングセンタの数学モデルを用いてシミュレーション実験を行うことによって,その手法の有効性を検討し,十分な精度で偏差の推定が行えることを確認した. (2)5軸制御マシニングセンタの様々な形態に応じた測定方法の開発 5軸制御マシニングセンタの様々な構造形態に合わせた運動精度測定方法を提案するために,構造形態をWebやカタログを通して調査し,構造形態を表記する構造コードを用いて分類した.分類した構造形態のそれぞれのグループにおいて,代表的な構造形態を選び出し,機構解析ソフトウエアを用いて,5軸制御マシニングセンタのモデルを作成し,それぞれのモデルに幾何偏差を与えて,同時4軸制御運動で得られる誤差曲線と構造形態との関係を明らかにした.さらに,主軸頭旋回形,主軸頭・テーブル旋回形において,同時4軸制御運動のデータを用いた観測方程式を解くことで,旋回軸を決定する8個の偏差が推定できることをシミュレーション実験を行い確認した. また,主軸頭旋同形では同時4軸制御運動を行う場合に複雑なジグが必要である.そこで,旋回軸を決定する8個の偏差を評価するための複雑なジグを必要としない同時5軸制御運動を提案した.
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