研究概要 |
本研究では近年活発に開発が行われているマイクロデバイス周囲の流動計測を目的に,マイクロチャネル内の流速分布を計測する手法を確立することを目指した.本研究ではまたMEMSにおいて開発研究が活発なマイクロジェットやマイクロフレームにおける計測を含めた空気流れをも計測可能であるシステムを目指し,レーザー流速計を応用しマイクロフィールド用の多点同時計測LDVの構築を行った.前年度において概ね光学システムおよびその電気的処理システムの構築を完成させており,今年度は特に実流動場における計測を行い,その測定精度また測定能力についての検討を行った. まず,本システムにおける空間分解能は光ファイバーコア径0.24mmおよびオブジェクティブレンズの拡大率25倍から水平-垂直方向に10マイクロm程度となっている.実際のバースト信号から確認される水平方向分解能は20マイクロmであり,若干大きくなるが概ね整合している.これは従来のLDVからすると非常に小さい分解能となっている.また奥行き方向には焦点深度をそれとし1.2マイクロmと考えられる.この空間分解能を鑑み,実流動場としてはマイクロチャネル流路0.5mmx1mmを作成し,その流速分布を計測することに成功した.流量は15ml/minでRe=85となる流速条件において,概ねポアズイユ流れになっていることが確認された. また,逆流や非定常性を含んだ流れ場として,燃料電池におけるセパレータを模擬した曲がり管における流速分布の計測を行った.曲がり管は1mmx1mmのダクトが直角にベント後1mmx1.5mmの長さが1mmのダクトを通過後再び直角にベントし1mmx1mmのダクトに流入するというものである.その結果得られた速度分布は三次元数値計算の結果とも比較的良く一致した.この流れ場は非常に三次元性が強いことが予想されるために,測定体積が大きい場合には測定誤差が大きく含まれることになるが,そのようなことがなく,したがって本計測法が十分に対応していることが証明された.
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