研究概要 |
次世代エネルギー供給源に要求されることは、CO_2排出量の削減と革新的な燃焼技術を導入した低NO_x化である。高温低酸素濃度の酸化剤雰囲気で安定な燃焼することが可能であれば局所的な反応速度を制限することが可能となり、低NO_x化を実現できると考えられる。本研究では、高温低酸素濃度の酸化剤と不活性ガスで希釈した燃料あるいは超過濃予混合気を衝突させた乱流対向流メタン拡散火炎をモデルに選定し、酸化剤の酸素濃度低下と加熱の影響が消炎と構造どのような役割を及ぼすか詳細に検討を加えた。 消炎限界は、酸化剤温度300K、700K、1100Kの3条件に対して実施した。その結果、消炎限界は,CH_4濃度によらずほぼ同じO_2濃度で消炎してしまう領域と、O_2濃度によらずほぼ同じCH_4濃度で消炎する領域および消炎時のCH_4,O_2濃度がともに異なる遷移領域の3つの領域に分けることができることが明らかとなった。また、酸化剤温度を高くすることにより燃焼可能領域が拡大することが可能である。しかしながら、酸化剤温度の変化による消炎限界の変化は,3つの領域で異なる。その際、消炎特性を決める重要な値は、理論混合分率(F_<st>)であり、F_<st><0.2では、消炎限界の値は酸化剤を予熱することにより著しく増大し、F_<st>>0.6では、酸化剤予熱影響はほとんど現れない。 次に、希釈ガスとしてN_2、CO_2、f-C0_2を用いた場合の消炎に対して検討を加えた結果、いずれのガスを希釈に用いた場合でも、消炎限界にはほぼ同じO_2濃度で消炎する領域と、ほぼ同じCH_4濃度で消炎する領域、そして、遷移領域の3つの消炎特性があることが確認できた。この要因としては、CH_4およびO_2の濃度条件により流れ場中での火炎位置が異なるためである。さらに、希釈ガスの熱容量の違いは、消炎限界に顕著に現れた。ただし、熱容量が等しいCO_2希釈とf-CO_2希釈の場合でも消炎限界は異なる.f-CO_2とCO_2の違いはそれ自体が反応を有するか否かのみなので,消炎限界の差は希釈に用いたCO_2の反応に起因する。さらに、この差は一定ではなく,F_<st>が非常に小さい,CH_4=100%の条件では大きく,F_<st>が大きくなるにつれて小さくなることが明らかとなった。
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