研究概要 |
今年度の目標としては,トラック位置決め制御に関してはシークモードに限定し,目標トラックまでの参照軌道としての規範モデル(伝達関数)を与え,制御系はこの規範モデルに対するモデルマッチング問題を満たすようにコントローラを設計し,さらに,提案した手法を数値シミュレーションで検証を行った. はじめに,コントローラの設計は外乱抑制とロバスト安定性を同時に満たすためには,感度関数と相補感度関数のゲインを下げる必要があり,これはよく知られるH_∞制御における混合感度問題である.さらに,ヘッドサスペンションのシーク制御のみを目的としているので,あらかじめ与えた目標軌跡をトレースできるようにするために,コントローラはロバスト特性と追従特性を独立に設計できる2自由度制御系により構成した.目標軌跡は規範モデルとして与え,シーク距離に応じて異なるように与えた.コントローラの解は閉ループ伝達関数が規範モデルにマッチングすれば求められるが,この問題を解くために,拡大プラントを設定する必要がある.つまり,閉ループ伝達関数と規範モデルの誤差伝達関数が小さくなるような評価値を設定し,H_2ノルムを指標とするマッチング問題に帰着させることで求められる. 本解析手法の検証を行うために数値シミュレーションを行った.有限要素解析ソフトFEMLABとMATLABをリンク統合化し,アームサスペンションをFEMで解析後,状態方程式に変換するツールを構築した.その結果,最適化ツールのもとで,メカニカルな共振ピークを希望する共振ピークに移動させることができるヘッドサスペンションの最適形状を見いだすことができた.さらに,制御系においては,規範モデルとして,シーク距離1[Track],シーク時間1.5[ms]として,この仕様を満たす2次の伝達関数を与えた.そして,シーク参照軌道としての規範モデルと最適化後の実モデルのステップ応答を比較した結果,最適化された実モデルが規範モデルの軌跡に充分追従できるような結果が得られた.
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