研究概要 |
本研究の目的は蛍光信号の多焦点向時検出システムを開発し,DNA構造解析の高効率化を図ることである.本年度は蛍光信号検出光学系および励起照明光光学系を構築し,微弱蛍光信号の多点同時検出を実現する技術の確立を目指し下記研究項目を実施した. 1.液晶からの回折光ノイズの低減 2.迷光低減のための液晶制御による任意領域照明 3.各スポットの励起強度の独立制御による蛍光信号のスポット間強度差の改善 4.CCDエリアセンサによるマルチスポット蛍光検出光学系の構築 5.マイクロレンズ付液晶素子を用いた照明スポットの高集積化 得られた研究成果を以下に示す. ・リレーレンズ光学系による光利用効率の向上 ・回折光ノイズの低減によるコントラスト値0.98の向上とS/N比の改善 ・高密度マルチスポット(スポット径16μm,スポット間隔250μm)同時照明及び蛍光検出の実現 ・マルチスポット照明の高集積化(スポット径4μm,スポット径隔18μm) ・隣接2点の独立照明光および検出蛍光強度の可変的制御(S/N比1〜10まで調整可)の実現 ・蛍光色素FITC,および多色染色用蛍光色素AlexaFluor488を用いたマルチスポット蛍光検出の実現 検出速度に優れるが,その検出分解能に技術課題を有していた面露光型蛍光検出において,光学系設計の最適化と液晶素子を用いた高集積マルチスポット独立可変照明技術の確立により,多点励起蛍光の高分解能同時検出技術を開発した.高密度DNAマイクロアレイの蛍光検出に必要とされる1スポット16μmの蛍光検出を実現し,さらにマイクロレンズ付液晶を利用した照明装置によりスポット数にして,1mm^2あたり3086スポットという高集積型励起照明が実現できることを実験的に確認し,本手法がDNAマイクロアレイの検出速度を従来比で10倍以上に高速化する手法として活用できることを示した.
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