研究概要 |
立体物のWebブラウジングを円滑に行うロボットシステムの実現を通して,ロボットと人間が互いの長所を生かしながら,人間の役に立つロボットの行動制御を実現することが,本研究の目的である.開発するシステムは,ユーザである人間からオンデマンドでロボットに閲覧対象が指示され,事前には形状が不明な閲覧対象をロボットが自律的に三次元データ化していくことで,現実に存在する立体物をWebコンテンツとして活用するシステムである.閲覧のための大域的な動作計画(どこからどう見たいか)は,主としてユーザが判断し,それを実現するための局所的な行動計画(観測視点への移動制御やデータ収集など)は,ロボットが自動的に行う.本申請期間の研究では,移動ロボットを用いて立体物のWebブラウジングを行うシステムを実現し,遠隔からのユーザの要求をスムーズにこなすスキルを結果としてロボットに実装できるような方法論の確立を目指す. 本年度は,三次元環境認識のためのセンサシステムの開発と分散オブジェクトHORBを用いた遠隔操作インターフェースの実装に取り組んだ.三次元環境認識については,測域センサ(小型の走査式レーザ距離センサ)を回転させて,ロボット周囲の三次元的な距離情報を獲得するシステムを開発し,未知環境での自律走行実験に成功した.このセンサシステムは,閲覧対象をロボットが自律的に三次元データ化していくことに応用できる.また,分散オブジェクトHORBを用いて,柔軟にネットワーク経由でのデータの送受信やGUIを設計する仕組みについて研究開発を行った.全体システムの統合については,ロボットコントローラの不調・故障により実現されていないが,今後,個々に開発を進めてきた要素技術を統合しロボット上に実装して、更なる検証を進めていく.
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