研究概要 |
2年間の科学研究費助成により,デュアルタイプのホログラフィック偏光干渉顕微鏡による3次元差分計測についての研究を行い,下記に挙げるいくつかの成果を得ることができた。 14年度:アゾベンゼンを側鎖に含むウレタン-ウレア共重合体とポジ型フォトポリマを使って,光誘起凹凸形成型の積層タイプホログラフィック光メモリを開発した。この光メモリは空間的な強度変調縞に対してナノスケールの高空間分解能で凹凸形成が可能であり,解像度の点では生体顕微計測への応用に十分適するものであることが実証された。また,この媒体はホログラムメモリのみならず近接場光メモリや3次元光メモリ等への応用も期待でき,この附帯的な成果についても現在いくつかの論文誌へ投稿準備中である。 15年度:14年度にて開発した凹凸形成型の2Wayホログラフィック光メモリを利用して,実時間画像と記録画像との差分ベクトルを検出する偏光干渉顕微鏡を構築した。この顕微鏡の有用性を調べるために,同顕微鏡を使って生理用食塩水中での微少屈折率分布媒体の3次元形状計測を実施し,非常に高いコントラストにて3次元差分顕微計測を行うことができた。極微小領域での過渡的な変化の様子を3次元経時変化として捕らえることに成功した。ところが、開発したホログラフィック光メモリの実時間再生には数十mW/cm^2という比較的高い光エネルギが必要となってしまい、この点について今後の課題を残した。ただし、要再生光エネルギの点さえクリアできれば同方式は3次元生体計測には非常に有用であり、今後の医学光学領域研究への波及効果が大いに期待できるものと考える。
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