研究概要 |
本年度は腹腔鏡画像に対して腹腔内の3次元幾何を反映した情報をData Fusion表示することで,術者に対して病巣までのナヒゲーション機能を提供するシステムを開発した.ブタを用いた実験により本システムの有効性を確認した.実験の1週間前にあらかじめ腹部のCTを血管系を造影した状態で撮影し,術前臓器モデルの作製を行った.実験時には術中の臓器形状に基づき,術前の臓器モデルをレジストレーションすることで腹腔鏡画像上に血菅系等をナビゲーション表示することができた.また本システムでは高速画像処理により1秒間あたり6フレームで形状を更新可能であるため,呼吸による臓器の移動に追従して変化する内部構造の重畳表示を行うことができた. また高速度カメラを用いたシステム以外に本年度はPCプロジェクタとDVカメラを用いて術中での生体変形を計測する手法を開発した.対象となる生体に対しPCプロジェクタによりマルチスリットパターンを投影し,キャリブレーションされた2台のデジタルビデオカメラにより同期撮影して形状情報を得る.カラー元画像との対応関係によりテクスチャ座標を算出し,術野ビデオ画像からテクスチャマッピングを行った.3Dサーフェスデータとテクスチャのレンダリングによりリアルタイムに術野3Dマップを可視化する機能を持たせた.開腹手術のような環境であれば汎用のデジタルビデオカメラを用いて安価で簡便なシステムで生体の変形を計測可能なことが確認できた. 小型手術ロボットに関しては内視鏡の先端部レンズの左右に装備した鉗子を先端に持つアームを装備したワイヤ駆動方式内視鏡ロボットを設計した.摘出臓器を用いた実験により,左右のロボットアームの動作範囲,発生トルクの計測を行い,実際の手術が可能であるかの基礎的検討を行った.次に機能的な検証に伴う改良の後,ブタを用いた動物実験により胃の粘膜層切除術等を行うことができた.
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