研究概要 |
本年度は主としてスイッチトリラクタンスモータ(SRM)のトルク脈動抑制制御のための電流波形制御法の実験による検証および可変速制御のための基礎特性の検討を行った。 1.SRMのトルク脈動低減のための電流波形制御法の実験による検証 SRMのトルクはリラクタンスを利用しているため,トルク特性は電動機電流や回転子の位置に対し,非線形である。そのため,従来の変換器で出力される方形波電流や正弦波電流では瞬時トルクを一定にすることはできなない。ここでは,前年度に導出した瞬時トルクを一定にする理想電流波形の有効性を実験により検証した。二重ヒステリシスバンド制御により,理想電流波形によく追従した固定子電流が得られた。トルク脈動抑制効果に関しては,現在市販されているトルク計側窓値は瞬時トルクの計測が不可能であるため,発生トルクの周波数解析により評価を行った。これにより,従来から一般的に行われているワンパルス方式に比べ,回転数,負荷の大きさによらず,平均で約120ptのトルク脈動抑制効果が得られた。 2.SRMの高性能可変速制御に関する基礎的検討 一般に電動機制御では,電流制御系と速度制御系で構成され,それぞれフィードバック値に対し,比例積分(PI)制御によって高性能な可変速制御を実現している。しかし,SRMは非線形性が強く,従来の制御法を適用しても高性能な速度制御系を構成できなかった。そこで,フィードバックゲインを可変にする適応制御を適用し,速度制御系を構成した。この結果,従来のPI制御による速度制御系に比べ,良好な特性が得られ,実験によりこれを確認した。
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