研究概要 |
超電導体の磁束流抵抗を利用した限流器(磁束流抵抗型限流器)の開発において重要項目である超電導限流素子の大容量化および高抵抗化のための実験に基づいた基礎的研究を実施した。実用レベルまで限流素子を大容量化するためには限流素子を並列に,高抵抗化するためには素子を直列に多数接続しなければならず,その接続部分での接触抵抗を十分に低く抑えることが極めて重要である。本研究では,接続の手段として加熱圧縮接合を適用することを試みた。その結果,加熱圧縮プロセスにおける温度変化および圧力の条件を適切に設定することにより,接触抵抗を従来のハンダ付けによる接続の接触抵抗の30分の1程度に低減できることを明らかにした。 超電導材料としてBi2223バルクを用い,加熱圧縮により銀片をバルクに接続して,バルクとの接続端子とする。このときのバルクと銀片との接触抵抗を測定した。加熱圧縮における温度を830℃,処理時間を10時間とした場合の接触抵抗率(単位面積での接触抵抗値)は,実測で0.95×10^<-9>Ωm^2であった。比較のために,ハンダ付けした場合の接触抵抗率を実測したところ,その値は28×10^<-9>Ωm^2であった。すなわち,加熱圧縮によって接続した部分の接触抵抗はハンダ付けの場合の約30分の1である。加熱圧縮により限流素子を接続した配電系統用限流器において発生する損失を計算したところ,実用上問題ないレベルであることがわかった。
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