研究概要 |
今年度の研究において,昨年度レイアウト設計を行ったディクソン型DC-DCコンバータのICチップ化とそれを応用したDC-ACインバータを提案した。提案のディクソン型DC-DCコンバータは、オンセミコンダクタ社の1.2μmCMOSプロセスを用いて2.3mm角ICチップ上に実現した。今回は回路の動作試験を行うことを目的に、3倍の昇圧変換を実現するディクソン型DC-DCコンバータをICチップ上に集積化した。提案のディクソン型DC-DCコンバータについては、東京大学大規模集積システム設計教育センター(VDEC)においてICチップを試作し、提案回路がCMOSプロセスを用いて実現できることを明らかにした。さらに、磁性部品を用いないDC-DC電圧変換回路の応用として、DC-AC変換を行うインバータを設計した。提案のDC-ACインバータは、ディクソン型DC-DC変換回路に、その接点電圧を時分割で抽出する付加回路を取り付けることによって実現されており、DC電圧のみならずAC電圧も供給可能である。また、従来のスイッチトキャパシタ(SC)技術を用いたリング型DC-ACインバータに較べ、回路中のパワースイッチの数を70%までに減少させることができる。これにより、提案回路は電源回路の実現において問題になる発熱の影響や、回路規模の問題を軽減することができる。提案のDC-ACインバータについては,SPICEを用いた回路シミュレーションにより,その特性を明らかにした。シミュレーションの結果,提案回路は入力電圧24Vを出力100V、50Hzの交流電圧に変換できることを明らかにした。また、提案回路は最大80%以上の電力変換効率を実現可能であることをシミュレーションにより確認した。
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