研究課題/領域番号 |
14750228
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
新保 一成 新潟大学, 工学部, 助教授 (80272855)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 有機電界発光素子 / C60 / Alq3 / TPD / 超薄膜 |
研究概要 |
本研究では、フラーレン(C60)の超薄膜を挿入した有機電界発光素子を作製し、その発光特性及び電気特性について調べた。まず、C60層をTPD(正孔輸送層)とAlq3(電子輸送層・発光層)の界面に膜厚を変えて挿入した素子を作製した。ここで、水晶振動子を用いてC60層の平均膜厚を0〜1.0nmとした。C60層を挿入した素子では、挿入しない素子に比べていずれも駆動電圧と発光効率の向上が見られた。特に、C60膜厚が分子大きさ程度に対応する0.8nmの時に最も効率が向上し、挿入しない場合に比べ2倍程度の効率が得られた。次に、C60層の膜厚を0.8nm一定とし、TPD/Alq3界面近傍でAlq3層内に挿入した素子を作製し測定を行った。これより、TPD/Alq3界面よりも数nm程度Alq3側に挿入することにより駆動電圧がさらに低下することがわかった。以上のような発光効率と駆動電圧の低下について、次のような機構が推察された。すなわち、C60はHOMOレベルがTPDよりも低いため、TPDから注入された正孔はC60によりブロックされる。この蓄積された正孔によりAlq3と陰極間の電界が強まり、Alq3側からの電子注入が促進される。このため、電子・正孔のキャリアバランスが改善して効率が向上し、また駆動電圧も下がったものと考えられた。この機構はC60をTPD/Alq3界面に挿入した場合だけでなく、界面近傍のAlq3内部に挿入した場合についても当てはまるものと考えられ、またC60層をAlq3内部に挿入した場合ではAlq3内の電界増強効果がより強くなるために駆動電圧のさらなる低下が観測されたものと推定された。また、C60層を挿入した素子の光起電特性も測定し、C60層を挿入した場合では挿入しない場合に比べて光照射から光遮断時の開放端電圧の減衰時間が数倍長くなる特性が見られた。これは、C60層によるキャリヤのブロッキングが寄与していると推察された。
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