研究概要 |
本研究では,配向性及び結晶性を制御したSrAl_2O_4蛍光体薄膜を実現し、発光および残光の機構を明らかにすることを目的としている。そこで本年度は,平成14年度の結果である,基板温度を室温,酸素分圧を0.1Paでスパッタ堆積を行った後,空気中1000℃で熱処理を行って作製した膜において,膜の中心部において緑色の発光,端部で赤色の発光を示した膜の詳細な検討を行った。その結果,基板温度を室温酸素分圧を0.1Paでスパッタ堆積を行った後,空気中,1000℃で熱処理を行うと,作製したどの膜も、直径が約10mmの膜の中心部分とそれ以外の部分で発光特性が異なる膜が得られることを明らかにした。また,スパッタ堆積膜はSr:Al:O=1:2:4の組成であったが,1000℃で熱処理を行うと,膜の中心部では,Sr:Al:O=1:2:4,端部では,Sr:Al:O=1:4:7又は4:14:25の組成に変化し,膜内部の組成分布に違いが生じること。1000℃⊥以外の温度で熱処理をした膜は,熱処理前後での組成分布の違いはほとんどないこと。1000℃で熱処理を行った膜においてSrAl_2O_4以外のx線回折ピークは観測されなかったごとから,空気中で熱処理温度を1000℃で作製した膜のみ,熱処理中に膜内の組成分布が変化したと考えられる結果が得られた。さらに,1000℃で熱処理した膜の中心部の発光ピーク波長が約500nmであり,組成分析結果で得られたSrO・2Al_2O_3:Eu^<2+>,Dy^<3+>と4SrO・7Al_2O_3:Eu^<2+>,Dy^<3+>の発光ピーク波長とほぼ一致することから,膜中の発光特性の異なりは,膜内部の組成分布の違いにより生じたことを明らかとした。 これ等の成果は,電子情報通信学会,電気学会,応用物理学会の学術講演会で報告を行うとともに,投稿論文として電子情報通信学会誌で報告している。
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