研究概要 |
平成15年度は,具体的な技術確立目標として,Phase 2.(n型伝導性・抵抗率制御技術)およびPhase 3.の研究を行った。 Phase 2.a-C膜への不純物添加とn伝導性・抵抗率制御技術の確立 様々な方法でa-C膜への不純物導入が試みられたが,光学ギャップやスピン密度等薄膜物性への影響を及ぼすことなく伝導性・抵抗率制御を行った報告は無い.本研究では,カーボン薄膜堆積用と不純物導入用窒素プラズマ条件を別々に制御・最適化することで,不純物を導入しない場合と比較し,最大6桁の導電率上昇を観測し,a-C膜への不純物導入技術を確立した.窒素導入条件(不純物量)を層ごとに変えた多層a-C膜を,2次イオン質量分析装置を用いて評価し,不純物量に応じた2次イオンカウント数を観測した.本方法により,薄膜物性に影響を及ぼすことなく,抵抗率の制御を広範に行うことが可能となった.太陽光に対する抵抗率を室温で観測したが,暗状態の1.3倍程度の導電率の変化で,欠陥密度の低減が今後重要な課題になると思われる. Phase 3.太陽電池の試作と電池特性の評価 n型a-C膜をp型Si基板上堆積した,ヘテロ構造a-C膜太陽電池の試作と太陽電池の諸特性(変換効率,量子効率等)を評価し,n型a-C膜の太陽電池材料としての特性を明らかにした.本構造により,変化効率0.02%を達成し,量子効率に結果からa-C膜からの発電が寄与していることを確認した.また,a-C膜のみから構成する太陽電池を作製しp/nの整流性を観測したが,疑似太陽光下での発電を確認することが出来なかった. 平成15年度に得られた結果は,現在論文誌に投稿中です.
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