研究概要 |
電界放射型フラットパネルディスプレ用の電子源として,カーボンナノチューブ(CNT)をSi突起先端に成長した電子源アレー(FEA)からの電界放射特性を評価した.昨年度は電界放射が起る閾値電圧および放射電流の安定性の評価を実施した.今津度はこれを更に進め電界放射電流のノイズとその低減化方法について検討した. その結果,放射電流がアレー内で実効的に動作している電子源数に比例するならば,そのノイズ振幅は放射電流の平方根の逆数に比例することがわかった.これは電気回路論的な理論をもとに説明することができた.これについてはJ. Vac. Sci. Technol. B22(3),1338-1341(2004)にて発表した.また,個々のCNT電子源からの電界放射特性がアレー化した場合に放射電流の安定性に大きな影響を与えるので,単一のCNT電子源を製作し,その電界放射特性を調べた.熱処理によって表面状態が変化することを電界放射顕微鏡の放射像から確認することができた.それにともない,Fowler-Nordheim (F-N)プロットも熱処理により大きく変化することが分かった.高温の熱処理(1000℃)によって電界放射電流の時間変動(ノイズ)は小さくなることがわかった.この結果からCNT FEAにおいても高温での熱処理によって,放射電流の安定性が改善されることが期待できると考えられる.これについては,Diamond 2004 (September 12-17,2004,Riva Del Garda Italy,15.2.9)にて発表した.
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