研究概要 |
本研究は,医用画像の標準規格であるDICOM形式によって保存された画像の容量を圧縮することにより,院内ネットワークにおける伝送時間を短縮し,また記録メディアの保管コストを削減することを目的としている。 医用画像の性質を可逆符号化の観点から分析し,自然画像とは異なる次の2つの特徴を明らかにした。第一に,撮影装置の特性や精度によってヒストグラムに大きな偏りができること,第二に,X線等の照射を受けていない非照射領域,照射を受けた領域のうち被写体の領域,および被写体以外の空乏領域の三つに分けられることである。これらの特徴を利用することで,符号化効率の向上を図った。 第一の特徴に対しては,画像のヒストグラムを分析して冗長な情報を取り除くことにより対応した("医用画像DICOMの可逆圧縮に関する検討",第2回 情報科学技術フォーラム,H-006,2003年)。また,第二の特徴に対しては,判別分析法を用いた領域分割を行い,領域毎に符号化することで対応した("医用画像DICOMの可逆符号化に関する研究",神戸大学大学院自然科学研究科修士論文,2004年)。提案手法を用いた結果,従来のJPEG-Lossless方式によって圧縮されたデータ量を,さらに2.7%(CT画像),1.4%(MR画像),4.9%(RF画像),2.0%(US画像)削減することが可能になった。本研究成果はカルテの電子化を促進する上で非常に意義深いことである。
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