研究課題/領域番号 |
14750332
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
システム工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤井 康正 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (60251766)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | エネルギーシステム / 地球温暖化対策 / 世界エネルギーモデル / 線形計画法 / エネルギー輸送 / 長距離送電 / エネルギーモデル / 世界モデル |
研究概要 |
本研究では2100年までを対象とした地球温暖化問題対策技術評価を目的に、全世界の区分数を82までに高めたエネルギーモデルの構築を行った。今年度は、エネルギーモデルを構成する制約条件式係数行列の数学的な一般形に関する考察を行い、リレーショナルデータベースとの親和性を高めた汎用的なモデル構築プログラムを作成した。本プログラムを利用して、変数の個数約140万個の大規模エネルギーモデルを実際に構築し、CO_2回収処分などの温暖化対策技術の導入可能性評価を試み有用な知見を得ている。なお、エネルギーモデルは線形計画問題として定式化するが、線形計画法のソルバー自体は、制約条件式がおよそ百万本にも達することから、市販の最新ソフトウェアを購入し、それを活用している。本年度の研究活動で作成したエネルギーモデルを用いた試算結果からは、以下の知見が得られた。 1.従来型のエネルギーモデルでは本格的な評価が困難であったエネルギー輸送インフラ(ガスパイプラインや長距離送電)を明示的に考慮した地球温暖化対策を評価できるようになった。今年度は特に、負荷曲線の時間帯数を3から6に増加させて、計算精度の向上を図った。長距離送電を考慮することにより、世界地域別の時差を利用した負荷平準化効果などを通して、太陽光発電の導入可能性が相対的に高まる傾向があることなどが、昨年度の試算に引き続き、計算結果として確認できた。 2.本モデルでは水素などのクリーンエネルギーの生産、輸送システムも明示的に考慮している。本モデルの試算により、運輸部門の液体燃料代替以外には、CO_2排出制約を考慮しても水素エネルギーが大規模に利用される可能性が低いことが示された。水素自体は、電力と同様に、二次エネルギーであるため、その利用拡大を行っても一次エネルギーとしての化石燃料の消費量削減には直接には寄与しないことが理由と考えられる。 3.発電所等の排煙から分離回収されたCO_2を地中・海洋に貯留際、その大気中への漏れ率に関する感度解析を行った。年率0.1%程度の漏れ率であれば、大気中CO_2濃度安定化という目標の達成には大きな影響を及ぼさないことがわかった。しかし、漏れ率が年率0.4%程度を超えると、CO_2排出削減のための限界費用が無視できないほどに上昇させることがわかった。
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