研究課題/領域番号 |
14750437
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水工水理学
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
中山 忠暢 独立行政法人国立環境研究所, 流域圏環境管理研究プロジェクト, 主任研究員 (30332240)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 長期流出モデル / 集中化 / 物質輸送 / 釧路湿原 / 水分フラックス |
研究概要 |
北海道釧路川流域を対象として、前年度に引き続き河川流量・窒素・SS(浮遊砂)のモデルシミュレーション、及び、既存の観測データとの比較を行った。研究当初は計算時間・計算容量を小さくするために物質輸送モデルの集中化の方向へ進む予定であったが、(i)物理保存性が悪くなり再現性もそれに伴って逆に悪くなる可能性が在る、(ii)近年のコンピュータの性能の向上には目を見張るものが在る、(iii)前年度の結果より湿原内では表面流・不飽和流・地下水流間でのフラックスのやり取りを改善する必要がある、などの理由が考えられた。(ii)に関してはハードディスクやメモリ等を本年度購入し大規模シミュレーションに備えた。 特に大きな問題となった(iii)に関しては、初年度の結果で得られた土壌水分量と地下水位の関連性及び不飽和層と飽和層間での水分フラックスを利用することによって、地下への浸透量の再現性が大きく向上し(その結果、河川基底流量の再現性が大きく改善された)、流域特に湿原域での水・熱循環の再現性が大きく改善された。また、湿原域では地下水位は飽和に近く、モデルで計算した水頭表示では実際の冠水量よりも過大評価する傾向にあった。湿原植生へ及ぼす影響という点からは冠水量のより正確な評価が必要であり、今年度のモデル改良によって湿原での冠水量に関しても大きな改善が見られた。また、これらの水・熱循環の再現性の向上に伴って、最終的には河川への汚濁物質供給のモデル再現性が前年度よりも改善された。本年度の研究成果の一部は雑誌論文に掲載され、また何篇かは投稿中・修正中である。 シミュレーション結果は前年度よりも改善されたものの未だ若干の誤差が見られ、モデルでは物質の吸着・化学反応・家畜の排泄物の挙動及び処理水による付加等を考慮していないとともに、河道内での土砂のソース量の設定の不明確さも原因と考えられ、今後の課題として残された。また、今後、流域周辺からの汚濁負荷発生に伴う湿原内への沈降・堆積過程のシミュレーションによる再現、及びそれにそれに伴う湿原生態系の変化のシミュレーションを行うことによって、良好な湿原生態系の形成のための流域からの負荷対策についての議論が可能になると考えられる。
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