研究概要 |
近年,ETC(Electric Toll Collection)システムが実用化されたものの,それを利用するために必要な車載器の普及は遅々として進んでいない.その結果,ETC導入に伴う効果も十分に顕在化していないのが実状である.ETC車載器は,車載器普及率の変化に伴いそのパフォーマンスが変化し,さらに自動車利用者の車載器に対する効用,購買行動を変化させるといった性質を持っている.本研究ではこの性質に着目し,利用者間の相互依存性を考慮したミクロな視点での個人のETC車載器購入行動のモデル化とマクロなETC車載器普及予測モデルを構築する. まず,意識調査に基づいて,自動車利用者の車載器購入要因の把握を行った.次に,利用者間の相互依存性の影響をETC車載器の普及率を代理指標として導入した個人のETC車載器購入行動モデルの構築を行った.さらに,構築した車載器購入行動モデルを用いて,マクロなETC車載器普及予測モデルの構築を行っている. 個人のETC車載器購入行動モデルの同定においては,意識調査では回答者に直接普及率を提示しても妥当な回答結果を得にくいことから,ETC利用に伴い節約される料金所通過時間とETC車載器普及率の関係を交通工学的な見地から定量的に把握し,回答者には料金所通過時間をSP実験属性の1つとして提示している.一方,マクロな普及予測モデルは,現在までのETC車載器普及率の実績値を用いて同定している. 最後に,車載器普及促進政策の効果分析を行った.例えば,一定期間のみ車載器の普及を強力に促進させるような政策の効果分析を行い,政策介入の終了後も相互依存性の影響により普及率が増大する可能性があることを定量的に示している.
|