研究課題/領域番号 |
14750459
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
土木環境システム
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中山 亜紀 京都大学, 工学研究科, 助手 (10335200)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | Bis-phenol A / 内分泌撹乱物質 / 乳癌 / 乳腺 / 組織培養 / 17β-Estradiol |
研究概要 |
エストロゲン様作用を有する、BPAは乳癌のプロモーター作用を有する可能性があると考えられる。ところで、ある物質の標的器官におけるリスク評価を行う際は体内動態モデルによる標的器官中物質濃度の推定が有効である。一方で、培養細胞などを用いたin vitro試験では毒性試験における用量反応関係を比較的容易に求めることが可能である。 ところが、このin vitro試験における曝露濃度と、実際の生体内で標的臓器中に存在する標的細胞との曝露濃度の間には隔たりがあると考えられる。動物の臓器や器官は、細胞のみで構成されるのではなく、細胞の外側に細胞どうしの接着や引っ張り・圧縮などの外圧に対抗するため強度を持った構造の存在が必要である。このような働きをする物質は細胞外マトリックスと呼ばれており、現在までに非常に多くの成分が明らかにされている。いまPBPKモデルにより明らかにされる標的器官における物質濃度とin vitro試験による毒性情報とを用いてリスク評価を行うためには、生体における標的器官の曝露濃度だけでなく標的細胞の曝露濃度を明らかにする必要がある。そこで本研究では下記のような研究目的を設定した。併せて、得られた結論をまとめる。 1.トランスフォーメーションアッセイを用いた、BPAのプロモーター活性の検討 発がんイニシエーターであるDMBAのどの曝露濃度群においても、BPAを複合曝露した場合のほうが、コロニーの形成率が20%以上高くなり、BPAのプロモーター作用を確認する結果を得た。 2.乳腺組織培養を用いた、BPAの組織への移行率の測定 乳腺組織へのBPA曝露では、最初の2時間でBPA曝露量の20%程度が移行し、その後、移行率50%付近へ向けてゆるやかに上昇する傾向が見られた。24時間での移行率は40%程度となった。 3.乳腺上皮細胞への、BPAの移行率の測定 乳腺細胞へのBPA曝露では、BPAの曝露開始から8時間後までに24時間の移行量のうち、3分の2近くが移行している。組織への移行率は24時間曝露で最大45%であるが、細胞への移行率は1%に過ぎなかった。 4.乳腺組織中DNAへのBPA付加体形成率の測定 BPAを曝露した乳腺組織からDNAを抽出し、付加体生成量を測定した実験では、曝露時間に依存的にDNA付加体生成量が増加していることが確認できた。24時間のBPA曝露により10^4塩基対あたり1.8個という、かたりの高さの付加体形成率であり、BPA自体の癌原性も懸念される結果となった。
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