研究課題/領域番号 |
14750484
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
建築構造・材料
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
東 康二 崇城大学, 工学部, 講師 (80320414)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 溶接始終端 / 溶接欠陥 / 脆性破壊 / 延性亀裂 / 有限要素解析 / 塑性拘束 / 表面欠陥 / 貫通欠陥 / 応力三軸度 / 表面亀裂 / 貫通亀裂 |
研究概要 |
兵庫県南部地震では、梁端溶接部の始終端に存在する欠陥からの脆性破壊が報告された。脆性破壊の発生は欠陥寸法・部位・形状に大きく依存し、超音波探傷検査による欠陥の許容規準では許容される小さな欠陥からも脆性破壊が発生した事例もある。不可避的に存在する溶接欠陥が接合部の性能に及ぼす影響を定量的に評価する手法を確立し、欠陥の合否基準を定めることが本研究の最終目的である。 実験により溶接欠陥からの破壊を再現するため、通しダイアフラム形式あるいは水平スチフナ形式の柱梁接合部を単純化した試験体を用いて、繰返しおよび単調載荷実験を行った。溶接始終端にスラグ巻込み、融合不良を想定した部分溶込溶接、疲労亀裂などの人工欠陥を設けた。一連の実験で、溶接始終端部に挿入した欠陥から延性亀裂が進展し、脆性破壊へ到る過程を的確に再現できた。さらに非線形有限要素解析により実験を忠実に再現し、欠陥先端の応力、歪状態および破壊駆動力を検討した。 実構造物の欠陥から発生する脆性破壊の予測手法については、破壊評価線図(FAD)による手法、亀裂先端開口変位(CTOD)設計曲線を基にした手法が実用化されているが、これらの手法を試験体と解析モデルに適用した場合、亀裂先端における塑性拘束が評価結果に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。金属の破壊理論では、「亀裂先端の高応力領域の中に脆性破壊の引き金となる脆い粒子が含まれれば破壊が発生する」とするのが定説であり、表面欠陥や内部次陥など塑性拘束の弱い欠陥の先端部から脆性破壊が同じ確率で発生するためには、亀裂朱端部の高応力領域の体積が、塑性拘束の強い3点曲げ試験片やCT試験片における亀裂先端部の高応力領域の体積と等しくなるまで割り増したJ積分値を作用させる必要がある。即ち、塑性拘束の弱い欠陥の破壊限界J値J_c(見かけのJ_c)は、CT試験片で計測されるJ_cを上記の体積一定の条件を用いて割り増したものとする必要がある。実験および数値解析に、上記の塑性拘束の影響を考慮したFADを適用した結果、脆性破壊の発生を精度良く予測できることが分かった。
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