研究概要 |
初年度は,都市内の繁華街における歩行者分布調査法の開発に力点をおき,以下の研究成果を得た. (1)調査方法の考案と器具の作成 正確なデータを得るためには,街路上に多数のビデオカメラを設置して同時刻に定点観測を行うのが理想的であるが,調査の簡便化を図るために計測者が移動しながら観測する方法を考えた.計測者が歩きながら撮影しても良いが,より短時間に広範囲のデータを収集するために,自転車を利用したビデオの撮影を試みた. 調査のために製作した機器は,ビデオカメラの支柱と信号と車輪を同期させるメカニズムの二点である.製作自体は極力簡易化し,このシステムを数点製作した.これにより調査の効率化とデータの信頼性の向上を図ることができた. (2)調査 撮影機器を製作した後,試験的に調査を行った.対象地域は,東京の代表的な繁華街である渋谷,新宿,池袋の3地域である. 次年度は,初年度の調査で得られた動画像データをデータベース化するための理論化と作業を行った. (1)データベース化 取得したデータは,歩行者と車輪の回転を示す信号がフィルム面上に記録された時系列データからなる.はじめに,撮影した原画像から正確な時間の情報を取得するために,ビデオレコーダを使用し,「時間:分:秒:フレーム」の単位からなるタイムコードをテープに追加記録を行った.次にビデオレコーダで再生しながら,全歩行者についてモニターの所定の位置を通過する度に撮影開始からの画像フレーム数を入力した. (2)初歩的な分析 調査結果の初歩的な分析と考察を行った。各地域の歩行者分布の実態を視覚的に表現すると同時に,歩行者の集中や偏りといった分布の疎密について定量的な分析を行った.
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