研究課題/領域番号 |
14750536
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
冨島 義幸 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (80319037)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 阿弥陀堂 / 両界曼荼羅 / 浄土教 / 顕密仏教 / 密教 / 平等院鳳凰堂 / 法勝寺 / 法成寺 / 中世 / 浄土伽藍 / 浄土図 / 法華八講 |
研究概要 |
当年度は、(1)浄土教建築・伽藍の背景となる理念の実態をとらえるべく分析をおこない、また(2)その位置づけの基盤となる中世顕密仏教の描く宗教的世界観を探求した。それぞれ得られた主な成果は以下のとおりである。 (1)浄土伽藍の建築造形と理念-平安浄土教伽藍の系譜に位置づけられていた建築が、実態としては東大寺や東寺など古代伽藍の展開したものであることを論証した。また、前年度につづき、平等院鳳凰堂仏後壁の浄土図を検討し、そこに法成寺・法勝寺のような鎮護国家伽藍と、平等院や平安後期に隆盛する勝光明院など阿弥陀堂を中心とする伽藍が対置されており、当時の貴族が描く理想の伽藍観、さらには伽藍建立の実態が反映されていることを明らかにした。本研究の成果は、学術論文:「平安時代後期における浄土のイメージと建築造形」および学術講演::冨島義幸「平安時代後期京都の伽藍と毛越寺・嘉祥寺」(第5回平泉文化フォーラム、2005年2月)にも反映されている。 (2)中世顕密主義の宗教的世界観-院政期を中心に、国家・仏教さらには神祇を含む顕密体制において、両界曼荼羅を基盤とした宗教的世界観が共有され、それが顕密主義の正統な論理となっていたとする説を提唱した。また、この論理にもとついて平安浄土教建築を捉えなおすべく、常行堂や阿弥陀堂の本尊である阿弥陀五尊の史的変遷を検討し、平安中期以降浄土教化されたとする従来の説に対し、平安末期の真言密教における阿弥陀信仰の論理化・体系化にともない、密教の両界曼荼羅にもとづく阿弥陀五尊が顕現し、そこに顕教の阿弥陀五尊が統合されたことを明かにした。本研究の成果は、学術論文:「両界曼茶羅と中世神仏世界」および学術講演:冨島義幸「建築空間にみる両界曼荼羅の展開と中世神仏世界の形成」(第2期第5回日本宗教史懇話会サマーセミナー、2004年8月)として発表した。
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