研究課題/領域番号 |
14750559
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
竹内 謙 東京理科大学, 基礎工学部長万部教養, 講師 (80339134)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | プロトン導電性酸化物 / 導電機構 / BaCe_<1-x>Y_xO_<3-δ> / 中性子回折 / 準弾性中性子散乱 / Pair Distribution Function / 準弾性子中性子散乱 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、研究代表者が米国アルゴンヌ国立研究所(ANL)に赴き、BaCe_<1-x>Y_xO_<3-δ>の中性子回折、準弾性中性子散乱、非弾性中性子散乱の各測定を行い、昨年度の測定の不足した部分を補うと共に、各種中性子散乱測定結果について詳細な解析を行った。 まず、ANLの中性子回折装置を用い、温度および雰囲気を変えBaCe_<0.8>Y_<0.2>O_<3-δ>の回折測定を行った。湿潤O_2雰囲気下で温度を200℃から800℃まで変化させて回折測定して得られた結果と、乾燥O_2雰囲気下で温度を同様に変化させて得られた結果のリートベルト解析結果から、500℃付近では水分子の存在により格子が押し広げられているということが分かった。一方、この500℃での水素導電率が高いことから、この温度では、水分子が格子内に入り、そこから離れた水素が拡散し、水素導電性を示すことが分かった。 そこで、ANLの準弾性中性子散乱装置(QENS)を用い、温度および雰囲気を変えBaCe_<0.8>Y_<0.2>O_<3-δ>の準弾性散乱測定を行った。この結果から、湿潤空気の雰囲気下での550℃付近での水素の拡散係数は、1.5×10^<-5>cm^2/sであることが分かった。この値は、導電率から予想される拡散係数よりも小さい。今回のQENSの測定のように、単に雰囲気を変化させるだけでは、大きな水素拡散係数が得られないと考えられる。より実際的な測定を行うためには、固体電解質燃料電池内にBaCe_<0.8>Y_<0.2>O_<3-δ>電解質を組み込んだ状態で、準弾性散乱測定を行い、水素の拡散挙動を観察することが必要であることが分かった。 さらに、イットリウム(Y)含有率により水素導電性が変化することから、Yが水素導電性に大きく寄与していると考えられる。そこで、Yがセリウム(Ce)と置換するsiteを明らかにするために、Yの換わりに、magnetic scatterを起こすホミウム(Ho)をドープしたBaCe_<1-x>Ho_xO_<3-δ>を作成し、中性子回折より磁気構造に起因する回折ピークを観察することを試みた。しかし、磁気構造を示す明確なピークが見られず、HoやYは、特定のsiteでCeから置換するわけではなく、ランダムに置換している可能性が強く示唆された。 また、BaCe_<0.8>Y_<0.2>O_<3-δ>では、500℃付近で、水から離れた水素が拡散することが分かったが、その拡散経路を知ることを目的に、酸素オクタヒドラの歪みを明らかにするため、現在PDF解析を試みている。
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