研究概要 |
磁気記録の高密度化は,磁気記録装置の大容量化,小型化を実現するために,年率30〜60%で進んでいるおり,書き込みヘッドのコア材料には,高い飽和磁束密度Bsを有する軟磁性薄膜が求められている.今までに,全金属中最も高いBs(=24kG)を有するCo35Fe65合金の現行プロセスである電気めっき法による作製を試み,バルク合金と同等のBs=24kGを有する電析CoFe薄膜を実現した.本年度は,組成を変化させたときのCoFeめっき及びめっき浴中での鉄イオンの挙動解析について検討を行った. まず,めっき浴中でのFe2+イオンとCo2+イオン濃度を変化させ,金属組成の異なるめっき膜の作製を試みた.デュアルセルを用いてめっき浴のアノード酸化の影響について検討を行ったところ,Fe含有量10%薄膜では,デュアルセルの使用による差異は認められずバルク金属と同じ値を示した.しかしながら,Fe含有量が10%より高い薄膜をデュアルセルを用いずに作製したところ,どの薄膜もBsは21kG以下しか示さないの対し,デュアルセルを使用して作製した薄膜はバルク合金とほぼ同等の値を示した.このことは,めっき浴中のFeイオン濃度が増加すると,アノード極での酸化反応の影響がより顕著になったためにBsが減少したものと思われる. つぎに,めっき浴中の鉄イオンの挙動解析を行ったところ,めっき浴中での鉄イオンの酸化は,自然酸化とめっき中のアノード酸化の二種類の酸化が有ることがわかった.そこで,アノード酸化をデュアルセルで,自然酸化を比較的低濃度の還元剤の添加により抑制を試みたところ,添加剤のみ使用のときよりも高いBsが比較的に安定に作製可能なことがわかった.
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