研究概要 |
ニオブ基合金は高融点で、高温強度に優れていることから、将来の超高温用構造材料として期待され、研究されている。このニオブ基合金の耐酸化性は1000℃以上で非常に悪いため、高温大気中で使用する際は耐酸化コーティングが必要となる。しかし、コーティング層と基材間の熱膨張係数の差からクラックの形成が起こり易く、また基材との相互拡散によるコーティング層の劣化が起きやすいため高温大気中で長時間使用可能なコーティングは未だに開発されていない。ここで本研究では昨年度まで、最外部層としてMo(Si,Al)_2あるいはMo-Si-B系金属間化合物層をコーテイング、耐酸化性の評価を行ってきた。しかしMo(Si,Al)_2あるいはMo-Si-B系金属間化合物は室温で非常に脆く、熱応力でクラックが発生しやすい問題が起こりやすかったため、今年度は最外部層を室温で比較的高靭性で、アルミナ形成能のあるNiAl置き換える試みを行った。その結果、CVD等数種類のコーティング処理かつ熱処理を組み合わせることにより、ニオブ基材全面に均一な厚さ(20μm〜40μm)のNi-Al系金属間化合物/Al_2O_3二層被膜が形成可能であることを明らかにした。このコーティングは基本的に複雑形状のニオブ基合金基材にも適用可能で、かつAl_2O_3拡散防止中間層とNiAl、及びAl_2O_3拡散防止中間層とニオブ基材との密着性も良好なため、熱サイクル特性等をさらに詳細に確認する必要があるが、長時間高温で反応層の形成されにくいニオブ基合金用コーティングとして、工業的に適用できる可能性が高いと考えられる。なお今年度はスパッタリング法による,Moコーティング+パックセメンテーション法によるコーティングも試みたが、スパッタリングによるMo被膜の形成速度が非常に遅く、上記方法の方が短時間で良好な被膜の得られやすいことが分かった。
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