研究概要 |
前年度、世界に先駆けヘテロジーニアスなシクロデキストリン二量体(1a, b)の合成に成功した。これらは連結部位の構造は同じで、シグロデキストリンの種類が異なるだけという非常に特異な化合物であり、その疎水場に由来する包接能を利用して閂型ロタキサンの合成に関する本年度研究を行った。まず糸としてアクリジンを末端に持った化合物、2a及び2bの合成を行った。まずピレンのモノ臭素化とジ臭素化化合物をそれぞれほぼ定量的に合成できることを明らかにした。その部位をリチオ化してDFMと反応させることによりアルデヒド基を導入するごとが出来た。(収率(2a;65%,2b;43%))また、NaBH_4でほぼ定量的にアルコールへ還元し、ピレン部分の構築の基本的部位の構築を行った。2aはアルコール部を臭素化した後ヘキサエチレングリコールの末端をTHP保護した化合物と塩基性条件下で反応させることにより鎖の導入を行った。その後脱保護、ヨウ素化を経て、アクリジンと反応させることにより総収率10%で閂の働きをする化合物3を得た。2bは同様に臭素化した後鎖の導入を行った。種々の検討の結果、閂と同じ長さの鎖を用いることが機能発現に必要不可欠であることが分かった。まず、一方だけ脱保護後ヨウ素化しアクリジンと反応させた。次に脱保護後ヨウ素化しジピリジル基の導入を行い総収率2%で糸の働きをする化合物4を得た。各々の構造決定は、MassスペクトルおよびNMRスペクトルにより確認した。実際糸4とヘテロジーニアスなシクロデキストリン二量体1aをDNA共存下反応させた後、透析することでロタキサンを得ることが出来た,この溶液に閂である3を加えていくことで、ピレンエキシマーの蛍光が現れ、閂型ロタキサン構造体が生成していることが明らかになった。また、ヘテロジーニアスなシクロデキストリン二量体1bをかわりに用いた場合は、ロタキサンが生成しないと言う非常におもしろい結果が得られた。
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