研究概要 |
1.QTLマッピング 本研究では矮性突然変異遺伝子としてd35とd50を研究対象とし,戻し交雑によってd35をもつ矮性品種「短銀坊主」,並びにd50をもつ矮性系統「ふ系71号」の遺伝的背景に長稈品種カサラスの長稈遺伝子をもつ系統を育成中である.平成16年度に展開したBC_3F_1世代は,いずれも矮性遺伝子の分離による2頂分布を示した.矮性遺伝子座とQTLとの交互作用を明らかにするため,矮性遺伝子座の遺伝子型で集団を2つの小集団に分け,小集団内でQTL解析を行った. 短銀坊主を反復親とする集団では,D35d35型の小集団で染色体6,7,8,12にそれぞれ1つずつQTLが検出されたが,d35ホモ型の小集団では,染色体6の1QTLのみが検出された.すなわち,カサラス由来の染色体7,8,12の長稈遺伝子の作用はd35ホモの遺伝的背景では抑制されることが明らかになった. また,ふ系71号を反復親とする集団では,D50d50型の小集団で染色体2,6,10,12にそれぞれ1つずつQTLが検出されたが,d50ホモ型の小集団では,いずれのQTLも検出されなかった.すなわち,カサラス由来の染色体2,6,10,12の長稈遺伝子の作用はd50ホモの遺伝的背景では抑制されることが明らかになった. それぞれの集団から,矮性遺伝子とカサラス由来の長稈遺伝子をヘテロに持つと予想される個体の自殖後代を展開した.いずれの集団も予想通りの稈長の分離を示した.2004年秋は4回の台風に襲われ,稈長の調査及びDNA抽出用の葉のサンプリングに多大な時間を費やした.そのせいで,QTL解析は現在も進行中である. 2.材料の育成 BC_4F_1世代を圃場に展開し,出穂時における表現型およびDNAマーカーの遺伝子型から最長稈と推定される個体に矮性系統を戻し交雑し,BC_5F_1世代となる交雑種子を得た.
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