研究課題/領域番号 |
14760017
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
園芸・造園学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山根 久代 京大, (連合)農学研究科(研究院), 助手 (80335306)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 自家不和合性 / non-S RNase / S-RNase / Prunus属 / オウトウ / S-like RNase |
研究概要 |
これまでに、甘果オウトウ(Prunus avium)が示す配偶体型自家不和合性には、雌ずいタンパク質であるS-RNaseが関与することを報告した。S-RNaseはT2/S type RNaseに分類されるが、同じT2/S typeに属し、自家不和合性には関与しないRNase(non-S RNase)の存在が広範囲の植物種で知られている。non-S RNaseは、老化過程やリン酸欠乏時のRNAのターンオーバー、あるいは傷害や病原体に対する防御反応に関与することが知られている。本研究では、甘果オウトウ雌ずいで発現するnon-S-RNaseを同定し、そのアミノ酸配列やゲノム構造を解析し、S-RNaseとの進化学的関連性について考察した。 甘果オウトウ雌ずいから抽出した可溶性タンパク質をPROTEAN IEFシステムを用いてIPG-strip上で分離させ、その後SDS-PAGEを行い、2D-PAGEプロファイルを得た。開花にともなって発現量が上昇し、なおかつS-RNaseと免疫学的に類似したタンパク質を網羅的に検出した。次に、得られたタンパク質スポットをプロテアーゼによりin-gel消化し、内部ペプチド配列を決定した。得られたアミノ酸配列情報を基に、'佐藤錦'雌ずいcDNAライブラリーをスクリーニングしたところ、non-SスポットをコードするcDNA(PA1,PA2)が得られた。これらcDNAクローンの推定アミノ酸配列は、T2/S type RNaseの活性領域を含み、甘果オウトウS-RNaseあるいはnon-S-RNaseと30%程度の類似度を示した。系統樹を作成した結果、PA1はPA2とともに独立したクラスターを形成し、Prunus属S-RNaseのクラスターの近傍に位置した。またノーザン解析の結果、PA1およびPA2は雌ずい特異的に発現していた。DNAブロツト分析の結果、PA1およびPA2はマルチジーンファミリーを構成していることが明らかとなったが、供試した甘果オウトウ品種間では、ほぼ同じバンドパターンを示した。モモなどPrunus属果樹にはこれらPAのホモログが存在した。さらに、PAの遺伝子構造について解析した結果、Prunus属のS-RNaseが2つのイントロンをもつのに対し、PA遺伝子に存在するイントロンは1つであった。挿入部位は、Prunus属のS-RNaseの第2イントロンの挿入部位と同じく、可変領域に相当する部分に存在した。 以上の結果より、甘果オウトウには雌ずい特異的に発現する塩基性のnon-S-RNaseが存在することが明らかとなった。S-RNaseとは様々な類似点がみられることから、進化学的に近い関係であると考えられた。しかし、遺伝子構造の比較から、今回得られたPAは、Prunus属のS-RNaseが出現する前から存在しているものと推察された。すなわち、PAがPrunus属S-RNaseの祖先分子種であり、PAから多くのS-RNase対立遺伝子が発生した可能性が考えられた。
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