配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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研究概要 |
土壌中の害虫に対する生物農薬として欧米を中心に使われているSteinernema属およびHeterorhabditis属の昆虫病原性線虫は,それぞれXenorhabdusまたはPhotorhabdus属の細菌と種特異的な共生関係を持つことによって昆虫に対する病原性を示す.共生細菌の代謝物の生理活性を応用する際には,より多くの細菌について活性を検討し,より良い細菌を選抜することが重要である.そこで,日本産昆虫病原性線虫から細菌を単離し,16S rDNAのシークエンスによる同定を行った.また,線虫種についてもrDNAおよびCOIの領域を用いて系統解析を行った.その結果,日本産Steinernema属線虫およびXenorhabdus属細菌はそれぞれ4つおよび3つのクレードに分かれ,共生関係を持つ線虫と細菌の間に一部対応していない関係が見られた.一方,Heterorhabditis属線虫およびPhotorhabdus属細菌ではともに2つのクレードに分かれ,ほぼ対応した関係が見られた.病原性の強い細菌の分離株を単離するため,甲虫類のロイヤルワームおよび鱗翅目のカブラヤガ終齢幼虫を用いて共生細菌の殺虫活性を比較した.供試したXenorhabdus属細菌9分離株およびPhotorhabdus属細菌7分離株では,ほとんどの場合100万個の細菌を注入してもロイヤルワームに対する殺虫力は30%以下だったが,Photorhabdus属細菌のうちH.indicaから単離した2分離株の場合,1万個の細菌を注入しても72時間以内に100%の殺虫力を示した.また,この2分離株はカブヤラガ終齢幼虫に対しても高い殺虫性を示し,100細胞を注入した場合でも72時間には100%の殺虫力を示した.線虫と細菌の組み合わせを変えた2者培養では,Xenorhabdus属細菌の一部の種類は他種の線虫が発育できなかったため,発育阻害因子を産生していることが考えられた.
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