研究課題/領域番号 |
14760037
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物栄養学・土壌学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 優 京大, (連合)農学研究科(研究院), 助手 (60281101)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ホウ素 / 細胞壁 / ペクチン質多糖 / ラムノガラクツロナンII / 遺伝子発現 / 酸化ストレス / ホウ素欠乏 |
研究概要 |
ホウ素(B)は高等植物の微量必須元素の一つであり、ペクチン質多糖の架橋因子として細胞壁超分子構造の形成に必要とされる。従ってB欠乏による障害は細胞壁構造の欠陥から生じると考えられるが、その具体的な機構は明らかでない。本研究ではB栄養状態に伴う遺伝子発現変化について検討し、B欠乏が代謝に与える影響の解明を試みた。 まずB欠乏で誘導される遺伝子を探索した。タバコ培養細胞を通常の1/20のB濃度で継代培養し低B馴化細胞を選抜した。この細胞と対照細胞の間でcDNAサブトラクションを行ない、馴化細胞で誘導される遺伝子13種を同定した。その一部は抗酸化酵素(カタラーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、UDP-グルコース:フラボノイド糖転移酵素)をコードしていた。植物では重金属、塩類過剰、乾燥或いは感染等多様な要因で酸化ストレスが発生することを併せ考えると、B欠乏でも酸化ストレスが発生するが、馴化細胞は抗酸化活性を高めそれに適応していると推測される。馴化細胞では蛋白質合成・分解系酵素も誘導された(RNA結合蛋白質、シグナル認識粒子、ユビキチン結合酵素、細胞質型グルタミン合成酵素)。これらは活性酸素種により損傷した蛋白質の代謝回転に有利であり、B欠乏で酸化ストレスが発生するという仮説と矛盾しない。 この仮説を検証するため、B欠除処理細胞に活性酸素種検出試薬を投与し観察を行なった。処理後18時間では対照より明らかに強いシグナルが観察され、酸化ストレスの発生が裏づけられた。B欠乏障害の多くは酸化ストレスに由来する可能性がある。 また低B馴化細胞で誘導される遺伝子のうち、UDP-グルコース:フラボノイド糖転移酵素は、対照細胞のB欠除処理でも誘導された。その発現は処理開始30分以内に誘導され、B欠乏の影響は極めて短時間に生じることが明らかとなった。
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