研究課題/領域番号 |
14760055
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中村 太郎 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30291082)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 分裂酵母 / 胞子形成 / リアルタイム観察 / 前胞子膜 / GFP / 蛍光顕微鏡 / シンタキシン / 生細胞観察 |
研究概要 |
我々は昨年度分裂酵母の前胞子膜形成を生細胞でリアルタイムに観察する系を観察したが、本年度はさらにこの系を発展させ、2つのタンパク質を同時に観察する系を導入した。具体的には前胞子膜はマーカータンパク質であるPsy1にGFPのバリアントであるYFPを融合させ、α-チューブリンタンパク質には同じくGFPのバリアントであるCFPを融合させた。これにより減数分裂の進行を詳細にモニターしながら前胞子膜形成を観察することが可能となった。経時的および統計的な観察の結果、以下のことが明らかになった。(1)前胞子膜形成の開始はこれまで第二減数分裂中期と思われていたが、それよりもやや早い前期もしくは前中期である。(2)膜の伸長は減数分裂の進行に伴い進んでいく。(3)第二減数分裂終了後もしばらく伸長は続く。(4)(3)の後完全に膜を包み込む。最終的に袋状の構造は球形に整えられていく。 また、この観察系を用いてさまざまな胞子形成欠損株の前胞子膜形成を観察した。スピンドル極体に局在し、前胞子膜形成に関与するSpo15の変異株では減数分裂が正常に進行するにもかかわらず、前胞子膜形成はまったく起こらなかった。前胞子膜に局在し、前胞子膜の伸長および構造維持に必要なSpo3タンパク質の変異株では前胞子膜の形成は野生株と同様に開始するが、その後の伸長に異常があった。前胞子膜の伸長を測定したところ、第二減数分裂の終了後の伸長に特に欠損が見られた。前胞子膜に融合する膜小胞の輸送には栄養増殖時に働くSecタンパク質が必要であることが知られているが、そのタンパク質の1つSpo14の変異株では前胞子膜の形成が開始からずっと影響をうけ、伸長が遅いことがわかった。今回の解析により、これまで電子顕微鏡の観察結果を基本にした前胞子膜形成の機構に生細胞の経時的観察の結果を加え、新たな前胞子膜の形成機構を提唱した。 以上の結果は現在論文にまとめ、投稿準備中である。
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