配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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研究概要 |
エンバク(Avena sativa)はファイトアレキシンとしてヒドロキシ桂皮酸とアントラニル酸のアミド化合物であるアベナンスラミド類を蓄積する.昨年度までの研究から,エリシター処理を行ったエンバクの葉の組織ではアポプラストにおいて,ペルオキシダーゼ活性が増大していることが判明した.アポプラストに存在する酵素は,細胞外に分泌されるアベナンスラミド類と接触する.さらに,アベナンスラミド類はフェノール性水酸基を持つため,ペルオキシダーゼの基質なることが十分想定される.そこで,ペルオキシダーゼの関与する代謝機構が存在する可能性を追求した.まず,炭素14標識したアベンナンスラミドBを調製した.これをエリシターとともにエンバクの第一葉切片に投与しアベナンスラミド類の代謝過程の解析を行った.投与から6時間後の放射活性の分布を調べると,放射活性の約30%は細胞壁に取り込まれていた.この細胞壁に取り込まれた放射活性は3NKOH処理で遊離した.さらに,このアルカリ抽出画分をゲル濾過クロマトグラフィーにより分析したところ高分子画分に強い放射活性が検出された.したがって,アベナンスラミド類は高分子化合物として細胞壁に取り込まれ,その強化に関わっていることが示唆された.一方,エリシター溶液中にも放射活性を持つ化合物が存在していた.LC/MS分析の結果,これらの化合物はアベナンスラミドBの2量化物であり,抗菌活性を持つことがわかった.以上の結果から,アベナンスラミド類の代謝系もエンバクの防御応答の一部であることが示唆された.
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