研究概要 |
アブシジン酸生合成阻害活性の簡便な生物検定として、レタスの33℃高温時に見られる発芽阻害の抑制効果、即ち高温時の発芽誘導を指標として、既知の化合物および新規に合成した化合物についてその活性を検討した。 まず、アブシジン酸はカロテノイドより生合成されること、フィトエン脱水素酵素を阻害する白化型除草剤フルリドンが高温時に発芽を誘導する事が報告されているので、β-カロテンの生合成阻害剤について検討した。その結果、フルリドンと同様の作用のノルフラゾン、我々が開発したζ-カロテン脱水素反応の阻害剤である4-phenyl-3-(trifluoromethyl)-4H-1,2,4-triazole(KYB-31)、既知のリコペン環化酵素阻害剤であるCPTAが発芽阻害の抑制効果を示すことを明らかとし、高温時のレタス発芽調節機構にカロテノイド生合成が重要な役割を果たしていることを確認した。また、triazole化合物については、約50個の類縁体を合成し構造と活性の関係について検討したが、KYB-31より高活性体は見い出せなっかった。 一方、キサントフィルの生合成経路の9-シス-ネオキサンチンからキサントキシンへの酸化解裂に着目し、この反応を触媒する9-シス-エポキシカロテノイドジオキシゲナーゼ(NECD)を阻害することが報告されているNordihydroguai aretic acid、およびNECDと類似反応のβ-カロテンの酸化解裂を触媒するβ-カロテン-15,15'ジオキシゲナーゼを阻害するn-propyl gallate、2,6-di-tert-butyl-4-methylphenol、quercetine、phloretine等についても検討した。さらに、この結果より得た知見より、高温時の発芽誘導活性を示す新規化合物の合成に着手した。
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