配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
一般的に精製されたタンパク質は味を呈さないが、例外的に甘味を呈するタンパク質が知られている。熱帯植物由来のソーマチン、モネリンは古くから甘味を呈することが知られており、ソーマチンは食品素材、風味増強剤として食品業界で利用されている。鶏卵卵白中に存在する溶菌酵素リゾチームもまた甘味を呈する。鶏卵卵白リゾチームは分子量14,500、分子内にリジン残基6残基、アルギニン残基11残基を有する等電点11の塩基性タンパク質であり、その甘味閾値は約7μMである。しかしながら、リゾチームのどの部位が甘味発現に重要な役割を担っているのかの知見はほとんどない。そこで本研究は、リゾチームの塩基性アミノ酸残基である、リジン及び、アルギニン残基にターゲットを絞り、化学修飾法、および遺伝子工学的手法を用いてリゾチームの甘味発現機構を明らかにすることを目的とした。まず化学修飾はリジン残基側鎖のε-アミノ基のグアニジル化(Gua)、アセチル化(Ac)、ホスホピリドキサール化(PLP)により行った。またAc化、PLP化したリゾチームについては、SP陽イオン交換カラムを用いて精製を行い、修飾度合いの異なる修飾体を得た。PLP化したリゾチームについては、再び脱リン酸化を行った。これらリゾチームの甘味特性評価は人による三点識別法にて行い、その甘味閾値を求めた。Guaリゾチームは甘味閾値にほとんど影響を与えなかったが、Ac及びPLPリゾチームの甘味閾値は修飾度合いが高まるにつれ顕著に増大した。また閾値の上昇したPLPリゾチームの脱リン酸化を行ったところ、再び甘味閾値が減少したことから、リゾチームの甘味発現にはリジン残基側鎖の構造的要因ではなく、塩基性度が重要であることが明らかになった。化学修飾法の結果を考慮し、メタノール資化性酵母Pichia pastorisを用い、部位特異的変異にて詳細に甘味発現に係わる残基を検討した。その結果、Lys13,Lys96,Arg14,Arg21,Arg73の5残基が甘味発現に重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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