研究概要 |
前年度の幼君ラット海馬スライスを用いたスライスパッチクランプ法による実験から,緑茶旨味成分テアニンと3種のテアニン誘導体(L-グルタミン酸-γ-メチルアミド,L-グルタミン酸-γ-メチルエステル,L-グルタミン酸-γ-エチルエステル)の中で,テアニンとL-グルタミン酸-γ-メチルアミドが,グルタミン酸により惹起される興奮性電流の持続時間は短い傾向があったことを受け,カイニン酸投与てんかんモデルラットに対するテアニンとL-グルタミン酸-γ-メチルアミドの効果を検証した.10週齢のWister系雄性ラットにステレオタキシックに右側海局,左側扁桃体および前頭葉硬膜上に電極植え込み手術を施行した。術後1週間以上経過し,記録され脳波が安定した標本動物を実験に使用した。カイニン酸および被験物質を投与後9時間にわたり,動物の行動と前頭葉皮質,右側海馬および左側扁桃体の脳波を記録した。テアニンとグルタミン酸メチルアミドを投与した両群ともに,コントロール群と比較して,発作脳波と臨床発作の双方ともが有意に抑制された(p<0.05)。しかし,テアニン投与時よりグルタミン酸メサルアミド投与時の方が低容量で発作が抑制される傾向が認められた。この結果から,テアニンとL-グルタミン酸-γ-メチルアミドは,双方ともに,てんかんの発症を抑制しうる可能性を示唆したが,その血液-脳関門の透過性はL-グルタミン酸-γ-メチルアミドの方が高いと考えられる。
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