研究概要 |
本年度は以下の研究を行った. 1.住宅等で使用される木材及び木質材料中を伝搬するAE波をPVDFフィルムを用いて検出し,材料内でのAE波の減衰を評価し,シロアリ食害時に発生するAE波を効率的に検出する方法について検討した.その結果,木材については約500mmの距離でもAEを検出することが可能であることがわかったが,木質材料のパーティクルボードに関しては,200mmまでの距離でしか検出できなかった.使用される木材及び木質材料に対し,PVDFフィルムを設置する間隔をそれぞれの材料にあわせて決定する必要性が認められた. 2.PVDFフィルムのベイト工法への適用において,PVDFフィルムを挟み込んだ餌木へのシロアリ食害を検出する実験を行った.長期的なAE計測を行った結果,シロアリが木材を食害する過程で,挟み込んだPVDFフィルム自体を食害することが確認された.食害を受けたPVDFフィルムは断線して,ノイズのような信号が連続的に発生するため,AE計測とともに,その信号を検出することで,フィルムの損傷を抑えるようにする必要がある.また長期的に使用するために,フィルムを保護する必要があり,その方法を検討中である. 3.シロアリを閉じ込めた木片にPVDFフィルムを貼り付け,ファンクション・シンセサイザからの出力をフィルムで振動として木材へ伝搬させ,シロアリの行動をCCDカメラを用いて観察した.しかし、今回の方法では木材へ振動をうまく伝播させることができず、シロアリが接触する木材表面の振動をレーザ変位計で計測したが,ほとんど振動していないことが確認され,これについては今後更なる検討が必要である.
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